第一回本企画の主旨
 

 本年は1962年の第一作『007/ドクター・ノオ』が製作されてからちょうど50年の記念すべき節目であり、最新作『007/スカイフォール』の公開も控え、ボンドファンにとっては夢のようなメモリアル・イヤーとなります。この半世紀の間に『007』シリーズは劇場公開はもちろんのこと、1970年代以降のテレビ全盛時代の地上波放送で数多くのファンを魅了して来ました。当時のTV放送吹替音声は、音源素材の確保が困難であった等の理由で、これまで発売されてきたDVD/ブルーレイには収録されずにきましたが、往年のファンにとっては「原体験を追体験できる」TV放送吹替音声が、このたびDVDで初収録されることとなりました。本シリーズは、ボンドファン&日本語吹替ファンの”満たされていない空白部分”を埋める、まさに待望のDVDシリーズとなります。本商品によって誰もがテレビに釘付けとなったあの懐かしい時代の感動が甦ってきます。また初めて観る方々にも、TVの「洋画劇場」全盛期の日本語吹替スタッフ・声優で制作された幻の傑作日本語吹替版に、新たな日本版の魅力を発見することでしょう。さらに、TV放送では画面の左右がカットされてきましたが、本商品では映画と同じ画面サイズでTV放送吹替版を堪能していただけます。

 一方このボンドシリーズのテレビ初放映は1974年。すでに38年が経過しており、初期作品の吹替音声のマスター保存には、デジタルでないため大きな障害があったのも事実。一般的に海外作品は、一度権利が切れて放送予定の無くなったマスター(音源)がジャンクされることも多々ありました。実際、007シリーズのTV吹替の放送用素材の一部に、行方不明のため、今後二度と放送されないものがあります。個々の作品によって状況は異なりますが、本DVDシリーズは貴重な音源を永久保存するデジタル化への対応という意味でも大きな意義があります。つまりショーン・コネリーといえば若山弦蔵氏、ロジャー・ムーアといえば広川太一郎氏、ティモシー・ダルトンといえば小川真司氏、ピアース・ブロスナンといえば田中秀幸氏といった、ファンが慣れ親しんだTV放送吹替音声を、最新のデジタル技術で永久保存するDVDシリーズとなります。

 まだテレビがお茶の間の宝箱だった70~80年代、007映画は家族が集まって鑑賞する一大イベントでした。今、メディアや娯楽の多様化により、「お茶の間」は存在しなくなっています。当時の洋画劇場を観ながらの楽しい団欒の空気と、映画が始まるまでのワクワク感を完全再現し、007によってお茶の間を取り戻す、つまり“お茶の間ボンド”の完全復活! が本企画の主旨です。

 
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