第五回００７ ＴＶ吹替名台詞集『カジノ・ロワイヤル』

 

００７シリーズのＴＶ放送吹替版は、名訳の宝庫です。原語の逐語訳に捕らわれない、粋な名台詞を集めてみました。気の利いた会話、圧倒的な情報量をご確認ください。 ※上記のTV放送吹替版が収録されているのは、キングレコード発売の「007 TV放送吹替版初収録DVD」シリーズのみとなります（右の単品ＤＶＤとＢＯＸ商品のみに収録されています）。

 

シーン (時間は本編開始から）		TV放送吹替	字幕
裏切者のMI6の課長とボンド
1:12	ボンド	Mはあんたの副業をとがめていないようだが	Mの目をかすめてバイトか？
		機密を売るとなると話は別だ	機密を売るのはマズいぞ
2:17	ボンド	銃の保管場所なら知ってる	これなら抜いたよ
		少しは見直したか？	結構　やるだろ？

※ＴＶ吹替では、もってまわった言い回しになっていて、ボンドらしい余裕が出ています。

シーン (時間は本編開始から）		TV放送吹替	字幕
委員会を終えて憤慨するＭ
21:38	Ｍ	ダブル・オーに昇格させた途端、大使館を吹き飛ばしてお祝いするなんて	"00"に昇格したとたん大使館を爆破
		彼はどこなの！	今　どこに？
		昔の諜報員はあんな失敗をしたら亡命する分別があったわ	昔は　そういうバカをした諜報部員は他国に亡命した

※ボンドの暴走に怒り沸点なＭは、やはりＴＶ吹替のほうが上ですね。声優の熱演がダイレクトに伝わってきますし。

シーン (時間は本編開始から）		TV放送吹替	字幕
ソランジュを誘ってホテルのロータリーを一周して戻ったボンド
36:38	ボンド	我が家へようこそ	近いだろ？

※これはＴＶ吹替のほうが、英語の台詞の直訳です。ボンドが早口すぎて、字数制限のある字幕のほうが意訳になってしまった例です。

 

 

シーン (時間は本編開始から） TV放送吹替 字幕 列車でヴェスパーと会うシーン 58:59 ヴェスパー 私は"お金よ" "資金係"よ ボンド 輝いているわけだ キラメいてる 59:47 ボンド その美しさのせいで軽く扱われないか心配してる 君はその美貌が自分のマイナスだと思ってる ヴェスパー 教養のある美しい女性全員にいえることね 脳ミソのある女はそう思うわ ボンド そうだ　そしてそれを補うため男っぽい服装をして そういう女は男っぽい服を選び－ 同僚の女性より攻撃的になる 女性にしては攻撃的 それがイラだっている印象を与え 物腰もトゲトゲしい 皮肉なことに 皮肉にも－ 男の上司からはますます煙たがられ昇進が遅れる 男性上司は彼女の心の不安を傲慢と勘違い 不安感が傲慢さと誤解されるんだ 彼女を正しく評価しない

※長台詞は、どうしてもＴＶ吹替のほうが有利になります。少し早口にすることで、情報を追加できます。会話としても自然ですね。

 

 

シーン (時間は本編開始から）		TV放送吹替	字幕
カジノの勝負の途中、ボンドがヴェスパーにキスをした後で
1:15:06	ヴェスパー	恋愛の偽装はやめたんでしょ？	まだ芝居を続けるの？
	ボンド	いや、ムダな偽装からもっと役に立つ演技に切りかえたんだ	偽名は捨てたがこれは必要だ
1:15:06	ヴェスパー	これはあなたがあまりにも早く負けたから　私が怒ってるっていう演技だけど	これは"破産寸前で怒ってる"という芝居だけど－
		私自信の気持ちが反映されてる	本当の私もキレてるのよ

※TV吹替は、本来の００７作品らしい、シャレた言い回しを表現できています。原語の意味をくみとりつつ、映画の雰囲気に合わせた会話を構築できるのは、吹替ならではの長所。

 

 

シーン (時間は本編開始から）		TV放送吹替	字幕
ヴェスパーを人質に取る片目の男に向かって
2:09:04	片目の男	女を殺すぞ！	殺すぞ！
	ボンド	手を貸そう	面白い

※字幕では、ボンドの台詞の意味がよく分かりませんが、ＴＶ吹替では、裏切ったヴェスパーに対するボンドの感情が出る台詞になっています。ここも、原語に近いのはＴＶ吹替のほうです。

※上記のTV放送吹替版が収録されているのは、キングレコード発売の「007 TV放送吹替版初収録DVD」シリーズのみです。お間違えなきようご注意ください。（下記リンクよりご購入いただけます）